自分の職業に専念するということは、余計な事柄を考えさせないようにさせてくれるものだ。
その意味で、職業を持っていることは、一つの大きな恵みとなる。
人生や生活上の憂いに襲われたとき、慣れた職業に没頭することによって、
現実問題がもたらす圧迫や心配事からそっぽを向いて引きこもることができる。
苦しいなら逃げてもかまわないのだ。
戦い続けて苦しんだからといってそれに見合うように事情が好転するとは限らない。
自分の心をいじめすぎてはいけない。自分に与えられた職業に没頭することで
心配事から逃げているうちにきっと何かが変わってくる。
「人間的な、あまりにも人間的な」より