献身は道徳的に尊い行為だと思われている
弱者や病人や老人の身の回りの世話をすること、
自己を殺して仕えること、
自身の命の危険を顧みずに他人を助けること、
医師も看護師も救急隊員の弁護士も献身することが仕事になっている。
しかしよく考えてみよう。
他の仕事の多くも実は献身の一つの形なのではないだろうか。
宗教家直接の人助けとは全く関係がなくても
結局は人を助けるために自分を犠牲にした仕事ではないだろうか。
農業も漁業も運ぶ人もおもちゃを作ることも
さらには思慮深くなされたあらゆる行為さえも献身ではないか。
「漂泊者とその影」より