鉱泉の出方はそれぞれだ。
とうとうとあふれんばかりに湧き出る鉱泉。
尽きることなく流れ出るもの。ぽたぽたと雫を滴らせるもの。
鉱泉の価値を知らない人は、その水の量で豊かさを判断する。
鉱泉の効用を熟知している人はその泉の水でないもの、
含有成分で鉱泉のよしあしと質を判断する。
同じように他の事柄に関しても見かけの量の多さや
圧倒的な迫力にまどわされてはならない。
何が人間にとって意味と価値のある質であるのか。
本質を見分ける眼を持つことが極めてたいせつだ。
「漂泊者とその影」より