あまりにも歳若いときに成功したり功績を上げてもてはやされたりすると、
その人は傲慢さと感覚の狂いから、年配の人や地道に苦労をしている人への
畏敬をすっかり忘れてしまうものだ。
それだけにとどまらず、成熟することの意味もわからなくなり、
成熟によって保たれる文化的環境から自然と離れてしまうようになる。
他の人は時とともに成熟し、仕事に深みを増しているのに、それはなしがたく、
そして、いつまでも子供っぽく、かつての成功や功績を看板にするだけの人間になってしまう。
「漂泊者とその影」より