尊敬ということは相手との距離がある。
そこには畏敬というものが差しはさまっている。
相手との間には上下関係が生じており、力の多い少ないの差がある。
ところが愛というものはそういう眼がない。
上下も区切りも力も一切認めずにくるみこむのが愛だからだ。
だから名誉心の強い人は愛されることに反抗する気持ちがある。
愛されるよりも尊敬されるほうが気持ちいいのだ。
したがって自尊心の強い人はしばしば愛されないことになる。
人が会いも尊敬もほしがる気持ちはわかるがやはり愛を選んだほうが心地よいだろう。
「人間的な、あまりに人間的な」より