たとえば、与えられた約束をよく理解して守り続けるためには、充分な理解力と記憶力が必要になる。
この理解力と記憶力は鍛錬されて獲得できる知性の一部だ。
相手に対して、あるいは遠くの誰かに対して同情を持ちうるためには、充分な想像力が必要となる。
想像力もまた知性の立派な一部だ。
こういうふうにして、人間的な倫理や道徳というものは知性と強く結ばれている。
そして知識のない知性というものはありえない。
したがって、何の役にも立たなそうに見える今の勉強でさえ、
自分が人間としてよく生きていくことへの土台となっていくと言えるのだ。
「人間的な、あまりに人間的な」より